フォト
無料ブログはココログ

趣味ごと色々

« 有難いことです(^ω^) | トップページ | わ、忘れたァ!!! »

2012年10月25日 (木)

夜の写本師

2472著:乾石智子 発行:東京創元社

本体価格:1,700円

右手に月石。左手に黒曜石。口の中に真珠。カリュドウは生まれた時にこの3つの品を持っていた。それは彼が大きな運命の輪に囚われている証でもあった。他人の魔力を奪う力を持った大魔道師アンジストとの出会いで、カリュドウの運命は廻り始める。育ての親を目の前で殺され、カリュドウはアンジストへの復讐を誓った。魔術師としての修行を始めたカリュドウは自分の力を過信し、兄弟弟子を死なせてしまい、破門されてしまう。失意に打ちひしがれているカリュドウに兄弟子が写本師の道を勧め、彼はその道へと踏み出す。写本師の中でも書く事で書物に魔術が宿せる夜の写本師がいる。その事に気づいたカリュドウは復讐心を抑えながら、写本師としての修行に打ち込んで行く。

ここからは、ほぼネタバレになるので、ここで紹介は終了。あ、これから先の感想はネタバレも含みますのでご注意ください。

読み始めは「ちょいと堅い?」と感じたのですが、読み進めると世界に引きずり込まれました。

カリュドウの背負った運命。それは一冊の本「月の書」に書かれていた。この設定が面白かった! ある一人の女性の為に造られた魔法の本なのです。この「月の書」は。そして、その女性はカリュドウの過去世。「月の書」に廻り逢ったカリュドウが過去の自分を追体験し、育ての親を殺した男が、かつての自分を裏切り殺した男と同一人物であると知っていくんですが、その過程が良かった。

シルヴァイン、イルーシア、ルッカード。三人の魔女がカリュドウの過去世。記述は古い順からです。

カリュドウが初めに触れたのはルッカードの記憶。彼女が思い出す過程をカリュドウが追体験するという形で文章が綴られています。

ルッカードが思い出したのはシルヴァインの記憶。アムサイストと名乗っていたアンジストを愛し、彼に裏切られ、魔力と純潔を奪われ殺された記憶。呪いをかけ、復讐を誓った記憶。次に思い出しのが醜女の魔女、イルーシアの記憶。エムジストと名乗っていたアンジストの策略に協力し、騙され、魔力を奪われ、城を護る城壁に生きたまま埋め込まれた記憶。

二人の魔女の記憶を思い出したルッカードが、アンジストに復讐し、成就されようかとする寸前に返り討ちに合い、三度魔力を奪われ殺されてしまう。

そこでカリュドウが追体験から戻るというかたち。単純に三人の過去を追うわけではなく、一番最近の前世の記憶を思い出すという形で書かれているのが良かった♪

こんなんじゃ、アンジストに対する恨みも深いよね(T▽T) でも、この作品、復讐を果たし、呪いも成就するんですが、一番最後がいいのだよぉ~~!!

シルヴァインが愛したアムサイスト。彼が決して純粋ではないことを理解していたシルヴァインが、彼の奥底に眠る純粋な宝石の輝きを信じすぎた為に生じた悲劇。それが全ての因果の始まりだったという感じなのです。

彼のその純粋な宝石は実の母によって穢され、大きく損なわれてしまっており、その空虚さを埋める為に、貪欲に力を求めるようになり、その中で出会ったのが母に似たシルヴァインだったのです。母に似ており、純真で穢れを知らぬ彼女を彼は愛していたという事実。

こんな過去を知ったら、複雑な気持ちになるわなぁ(T▽T)

と、こんな流れがあり、数年経った時に、カドリュウは一人の子供を預かる事になるのです。その子の中に、穢される前のアンジストと同じ宝石の光を見て、カリュドウは涙を流すのですぉ!! 

なんて壮大な恋愛ものなんでしょう。いやぁ、ここまで書かれちゃうと脱帽するしかないね!!

読んでいて、イメージも浮かびやすく、頭の中で映像も良く動いてくれました♪ 久々に世界が観えるといった感じの文章でした。

個人的には「ハリーポッター」シリーズなんかより断然面白い!! 

手堅いファンタジーが読みたい人にはオススメです!!

« 有難いことです(^ω^) | トップページ | わ、忘れたァ!!! »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1200941/47577663

この記事へのトラックバック一覧です: 夜の写本師:

« 有難いことです(^ω^) | トップページ | わ、忘れたァ!!! »